CC.264.龍玉とルティの涙【Chrono Chronicle】
Dragonorb and Luty’s tears
ユリィーに 審判役を頼んだ後
まわりをチラリとみる
クロエに ナイトパリィアが守護
アリスは ナイトシールダーで
サクラとともに 守護させている
彼女達への 被害はなさそうだと安心
さて 打ち合いに集中しよう
ルティは 両手で龍玉を おさえている
片手では 無理なのかな
そのまま 両手でくるのだろう
ルティが 何か 感謝か を
つぶやいているように 聞こえる
螺旋鞠が どれほどできるか
構えをとる
「 では はじめ 」
ユリィーの 声を聞いて
飛び出す
真っ向勝負か
ルティは こちらに 両手を向けて
龍玉をぶつけるように 襲いかかっていく
私も 螺旋鞠を 身体の前にと
準備していたものを
さらに腕を伸ばすように 突き出す
螺旋鞠 と 龍玉が ぶつかる
エネルギーが はじける
すごい音と光が出て エネルギーが飛び散る
龍玉からのバチバチとしてエネルギーが
私の 体にローブにおよび 傷つける
さらに 頬にも ビシッと 傷つく
ルティの方は 強靭な身体なのか
ある程度 余波が当たって
服が少し裂けているようだが
肉体は そこまで傷ついていない感じだ
ぶつかりあったエネルギーは
鍛練場の床を破壊
まわりにも 破壊を及ぼす
ぶつかり合いは 螺旋鞠が押し込んでいく
私は さらに突き出し押し込んでいく
ルティは もう堪えきれない
ぶつかりの 威力に 両手が
はじけるように 離れる
ルティの態勢は もはや死に体
同時に
龍玉の エネルギーが爆発する
私は螺旋鞠を さらに押し込む
ドゥッガッッッーーーーーーンンンンン
大きな光と音 爆散した濛々とした砂埃から
ルティのシルエットが ふっとんでいる
私は 打ち込んだ姿勢から
ゆっくりと 少なった砂埃から 歩き出す
ルティを見る
身体の右半身が 爆発の影響で
大ダメージを受けている
私は 静かにルティを見つめている
ピクリと動きだし 起き上がろうとしている
ただ黙って見守る
私の右腕も 少しダメージを受けた
血が少し流れている
「 久しぶりに 血を流したな 」
ルティが 左半身だけといった感じで
上体を起こしている 疲労困憊の顔だ
「 さすが 我が主
大ダメージですが
右半身が残っているとは
この程度で済んだこと
ありがとうございます 」
フゥ とんでもないな 竜というのは
そう感心した
「 龍玉の爆発の瞬間
螺旋鞠で 威力を相殺くださり
感謝します 」
そう あの爆発の瞬間
そのまま 螺旋鞠とともに打ち込めば
少なく見積もっても
確実に 体の半分は なくなるほどの威力
だが そのまま撃ち込まなった
螺旋鞠の 術式を留めることから
拡散にと 術式を変更したことによって
爆発のエネルギーを 相殺するようにした
さすがに 完璧にというわけではないが
ルティの致命傷を避けられたら と
すこしばかり 竜の強靭な肉体にも
期待していたところもあるがな
「 たまたまだ
それにミスもあったからな 」
右腕は 術式制御の際に
ケガをしてしまった かっこわるいな
「 ルティ 負けるような
勝負を持ちかけたわけは
もしかしてだが 龍玉
あの龍玉は 未完成か
途中段階か 何かか? 」
ルティは はっとして狼狽する感じがある
「 はい 我は 龍玉を出せますが
龍玉ではあるが龍玉ではない
そうまわりに思われていました
戦闘においては あまり使用もせず
鍛えておりませんでした
ですが 主の螺旋鞠を見て
確かめたい 何かあるのかと
居ても立ってもいられなくなりました 」
同じような似たエネルギーの玉
龍玉だと思うのが 違うのではないか
と 思ったのか
「 なるほどね
本当の龍玉がどうかはわからない が
螺旋鞠と先ほどの龍玉は
異なる点が多い
螺旋鞠は エネルギーの
流れが螺旋になり それも
整った秩序性をもって圧縮状態にしてある
なので 思ったよりも
制御しやすいようにもなるだろうし
応用の可能性も増やすこともできる
相殺できたのもそれだ
そして ルティの龍玉
龍玉と思っていた代物だが
エネルギーを圧縮しているものだ
エネルギーに流れというより
四方八方にバラバラとしたもの
それは爆発には有効なエネルギーだ
そして それは同時に
爆発するエネルギーをさらに
圧倒的な力で押し込め圧縮させる
力があるからこそでき得ることだな
爆発力に圧縮また爆発力が増し
さらに圧縮 と繰り返すこと
私もできるかといわれると難しいな
できたとしても
先のルティの龍玉には敵わないだろう
圧縮がうまくできないと
エネルギーの漏れとして
バチバチと放出されることになる
あれはあれでいいのだが
圧縮が落ちる 安定した玉状にできない
すなわち 一撃の威力は格段に落ちる
ルティは 自分の龍玉より
より安定した強力な龍玉を見たことが
あるんじゃないのかい 」
ルティは 無言だ
だが目の動きが雄弁に ものがたっている
そんな龍玉を見たことがあるのだ
「 本当の龍玉が さらに強力に
圧縮したものなのか
術式もあって成せているのか
それはわからないが
ルティの龍玉は
まだまだ ということ
龍玉のようで龍玉ではない だね 」
私なりの 龍玉の推察を話していると
ずいぶん納得した感じがあるルティ
搾りだすように
「 わがままに 付き合ってもらって
ありがとう ございます 」
かるく微笑んでかえす
「 すこしぐらいは いいさ 」
ルティは 涙を出している
身体の痛み 悔しい思いもあるのだろう
「 悔しい気持ちもわかるが 」
すると
「 違うよー あるじー
わらわは 嬉しいんだよ 」
晴れやかに応えているルティ
えっ どういうことだろう
よくわからない わからないけど
ルティ自身が 心底そう思っているとわかる
瞼を閉じて 笑っている方がいいよねと思い返す
ゆっくりと瞼をあけながら
ユリィーを見る
「 それまで 」
私は 左手をルティの方へと差し出す
ドシュ
水銃ロスティラで 撃つ
「 勝者のわがままだ ルティ 」
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