CC.246.恐るべき魔女【Chrono Chronicle】
Horrible Witch
サクラさんから
逢いたかったよと言われても
心当たりがない
サクラさんは 箱筒から出て起とうとしている
起き上がったばかりなのか
フラついて よろける
私は 咄嗟に 腕で抱きとめる
「 ありがとう クロノ君 優しいね 」
「 いえ あの
私のことを知っているようですが
私は あなたのことをよく知らないのです
すみません 」
「 わたしは サクラだよ
サクラ・ツバサ 」
私は 申し訳なく 微笑む
さきほどから ずっと嬉しい感情はあるのだが
「 すみません 」
サクラさんは 首を横に振り
ちょっと残念そうにいて
「 ううん 大丈夫 そうかもしれないと
思っていたから 」
若いのに しっかりしている
でも悲しそうでもあり
何故か いつも笑ってほしいなと思わせる
ふしぎな人だ
私は サクラさんが立てるようにと動いて
忍者たちの方へと 姿勢を向ける
サクラさんは 私の右腕部分を掴み
寄り添っている
近いですよ サクラさんと思いつつ
起き上がったばかりだし 仕方ない
へんに気にしないぞと 自分に言い聞かせる
「 クロノワール様に 無事に送り届けること
見届けることができました
これで任務完了です 」
「 任務完了か
私に サクラさんを託すということか 」
「 左様です 」
「 某達は その女性 サクラ殿を
術者へと 身辺を送り届けることでした 」
「 知り合いでは ないのか 」
「 はい サクラ殿とは いまこの時が
はじめてございます 」
サクラさんをみると 同意するように頷く
「 ここへ来た経緯を 話してくれないかな 」
才蔵はうなずいて 話をしはじめる
「 某達は あることがあり
傷つき疲弊しきってしまいました
風の噂で ある術者のもとへいけば
なんとかなるかもしれない ということを聞き
何とか探り当て
その術者のところへ 赴きました
その術者は 妖艶ですが奇怪な雰囲気のある
術者で とくに名乗りはしませんでした
いま思えば すでに我らが来るのを
知っていて待っていようにも 感じます 」
もしかして 術者は女か それと 予知の類がある
「 治療はかなわないという話になりましたが
この箱筒と このなかに眠る女性の
補佐と護衛をして
もうここへは戻れない知らない土地へ行くなら
傷や疲弊を治せ癒せる可能性があること
自分には 世界を渡らせる能力を行使できるが
そう何度も簡単にできないし
把握することもできないことがあるとのこと
行った先では 強者でなく術者と話すこと
術者には とくに丁寧に話す かつ
言われたことに全面的に従うようにとすること
そう告げられました 」
それで ディオでなくこちらをみて
あんなに丁寧に従うわけか
次元を渡らせる能力がある術者 気になるね
「 今後この世界には戻ってこれない可能性
治るかどうかわからない可能性があり
どうするのか決断を迫られましたが
即断して 術者の業で
こうしたことに相成りました
皆を治療して頂き 重ねて感謝申し上げます 」
「 うむ その術者の思惑通り
うまくいったようですね 」
推測だが
サクラさんは 称号に
【 クロノの許嫁 】とあり
保護下に置かれるだろうこと
黒のクロニクルの影響で
私が居る 次元城の大広間への
ピンポイントで次元を渡らせることができた
この箱筒も 魔力があったから
何かの機能があったのだろう
治療に関しても 丁寧に従順に接することで
治療につながったともいえる
ふぅ やり手で 相当の女性術者だな
次元を渡らせる能力は メインではないみたいだが
かなりデキる 恐ろしい存在だ
だが これほどなら 情報の真偽は
ほぼ正確だとみていいだろう
なんとなく 敵対するような感じを受けない
これは術者の感覚としてある
「 サクラさん その術者のことに
ついて 何か話せますか? 」
「 すみません 魔女さんのことは
今はまだ 」
何か事情があるようだ
「 大丈夫ですよ とりあえず
その魔女さんには サクラさんを
逢わせてくれたことに 感謝しますよ 」
サクラさんは ぎゅっと腕を掴んでよろこんでいる
「 サクラって 呼んでくださいね 」
「 わかりました これから
この城で暮らしてくださいね サクラ 」
「 うん ありがとう クロノ君 」
あまり 浮かれ過ぎないようにしようと気づき
才蔵を見る
「 今後 どうするつもりですか? 」
「 願わくば
クロノワール様を お館様として
忍の業を揮いたく存じます 」
「 私を主にしたいということかい? 」
ハッと 応える
暫し 沈思黙考
「 わかった 私の配下として活躍してくれよ 」
「 御意 」
忍者集団が 新たに編入する
それにしても このことも含まれていたのかもな
本当に 恐るべき魔女だな
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