148.クロエ・ノワール
次元城を飛び出す 方向をもう一度確認しつつ
飛翔する 加速していく
ある程度はローブも 風でバタバタしているが
風に比例している感じがしない
思ったより速度を出せる
目的地付近へ向かう
先ほど視たビジョンのように
シルエットが現れて
落ちていっている
でもゆっくりではない そんなことより
間に 合え よっ
素早く かつ 丁寧に受け止める
状況が状況だけに 繊細さは難しい
うぅごぉ と 抱きとめる
コントロールを 意識を集中する
よし うまくいったか
チラッ 最果てのカーテン状をみる
害はないかもしれないが
念のために 闇のオーロラカーテンに
触れないようにしつつ でも
負荷がかからないように スピードを
落とすように 最適な曲線を描くように
軌道調整する
でも あれ 思ったより変に荷重を感じない
移動速度や重力は 案外平気だった
それでも この人には
負荷がかかっていたかもしれないから
よしとしよう
「ふぅ よかったぁ」
言動や気配に気づいたのか 女性が
おもむろに身動きし 微かに瞳を
私に向けている
不躾かもしれないが 次元眼で
ステータスチェックする
Name : Chroe Noir
クロエ と読むのかなと思うと
表記が変換された
名前: クロエ・ノワール
ご親切にどうも ありがとう
「クロエ・ノワールさん もう大丈夫だよ」
瞳の潤いと光が 揺らめいた
なにか言いたげな感じもしたが
どことなく疲れてもいそうだから
「眠ってていいですよ」
そう伝えると もぞりとしながら
私をもう一度見上げる
あまり慣れていないとおもいつつ
微笑みを 返してみた
なにかあきらめているのか
わかっているように 瞼を閉じ
腕にかかる感触が代わった
クロエ・ノワール
二十歳ぐらいの女性 黒髪黒目
髪は長い 光の加減で黒紫にもみえる
彼女は裸だ 綺麗な肌つやをしている
魅力的な柔らかさとラインに 魅惚れていた
ハッとして 紳士的に
ストレージから念布を 取り出し
彼女にふんわりと纏わせる
しばし 感動してもいたが
てきぱきとこなしていたと 思う 多分
そうこうしてから 胸あたりに
抱きかかえる ステータスチェックしていて
称号をみた
女神が約束された娘 とある
この娘はいつか 女神になる存在か
いろいろ考えるのはあとか そう思いながら
次元城へ向けて 飛翔した