179.黒の魔導師
コンコンコン
ノック音 誰かな
フッと まわりを片付ける
「どうぞ」
アリスだ
「アリス どうしたんだい」
考え込み気味なアリスは
「あの クロノ様 クロノ魔導師様
その 」
黒の魔導師 って何 あっ
クロノ魔導師様か なるほど
「戻る手立てのことかい もし
いま戻れるなら 戻りたいのかい」
「 いえ 今は ですが 」
「今は難しいだろうけど また会えるさ
それまで アリスが やりたいことしたいこと
していけばいいんじゃないかな
私も 何か手助けするよ」
「 ありがとうございます クロノ魔導師様」
黒の魔導師様か まただ
「魔導師様より みんなのように呼んだらいいよ」
アリスは クスリと笑い
「マスター クロノ様 ご主人様」
「アリスぅ」
ほぐせるように くだけてみせてみた
アリスは クスクスと笑い そして
「これからは皆さんと同じように
一緒に行動したいです」
うん 何か動いてる方がいいこともあるし
一緒なら心強いしね
「わかったよ」
了承した
「今度は私の部屋に 来てもいいのよ クロノ」
魅惑的なことをいうアリス
「どこでそんなことを教わったんですか
今回はいかないから もうおやすみ」
ああぁ ドキドキした
アリスは ふっと視線をはずし瞼を伏せ
気品ある礼をとってから
「おやすみなさい」
そっと部屋を出る
扉をゆっくり閉めている
閉まるたびに ゆっくりゆっくり
きちんと扉がしまりきる
「アリス ゆっくり おやすみ」
私は 耳元で囁くように 告げた