172.王の遺願
帰還しようと思ったが 聖導師が
この浮遊城へ来れて 単独で行動できるのなら
もっとそれように 術式を施してもいいかもと
思いつき なにがいいかなと思案する
「ユリィー ここに今後聖導師を
神として 管理や様々なことをしてもらいたいと
思っているので いろいろ術を施そうと思う
暫し 待っていてほしいんだが」
「わかりました マスター では
傍で待機いたします」
「うん そうしてくれ」
さてでは やってみようか
神としても 活躍できるように だから
神聖術式 をと 決断する
とりあえず この神聖の術式でいけるだろう
ほかもあるだろうけど それは随時追々だね
「あったほうがいいかな」
結構な術式なので アレイエデンの杖
クロニクルを つかうことにする
クロニクルのなかの ある一部のところの
神聖 術式を 検索して 準備する
神聖な術式が 展開される
聖なるチカラが 何か澄みわたり響くような
穏やかな信頼感が 満ち溢れていく
次元眼になり
ふと 振り返ると
光り輝くような騎士然とした存在が
現われた
かなり吃驚しているが 何故か落ち着いている
そんな自分がいるのを感じる
「ユリィー 警戒を解いていい」
ユリィーは 一気に警戒を解き 従座する
「よかった ぎりぎりうまくいったのかな」
美男でカリスマ性がある人物が
片手を後ろへ伸ばして手をつないでるようにして
語っている
かなり疲弊してダメージを負っているようだ
そして背後に 小さな姿をかばう様に連れている
無意識に瞬間的に ステータスチェックする
「まずは 突然の出来事をお詫びしたい
緊急事態につき 謝罪します」
紳士な振る舞い いや 王者の風格があった
そして いきなりの謝罪か
「時間が限られている
我が娘を あなたのもとで 預かってほしい」
悲痛な面持ちで こちらへ真剣に述べている
背後の人影を 前に促し 目線を合わせるように
優しく父親の眼差しで 名残惜しく告げている
「今がその時だ 私はもう戻らねばならない
父も母も ずっと愛しているぞ」
言葉にならない泣き顔で親を抱きしめ
泣いているひとりの娘が
父親に片手で抱きしめられている光景があった
感情が揺さぶられていながらも
次元眼のまま 銃をインベントリから出して
彼とその背景に 撃ちぬく
王者は 遺言のように 願う様に
想いをこらえて そして
こちらに視線を投げかけている
私は ただ向き合い 次元眼で
アーサー・ペンドラゴン
その偉大な王を見つめて返している
アーサー・ペンドラゴンは
別れを終えたとばかりに 起ちあがり
背後に伸ばしていた片手に力をこめる
すかさず またインベントリから
銃で撃ちぬく
これで 3倍ものだよ と微笑んでおくる
神聖術式がもう終えようかという寸前に
アーサー・ペンドラゴンは いなくなった